2024.10.15
弊社で製作した水田の減水深を計測する機器(単三電池式とソーラーパネル式)についてご紹介いたします。
左写真は水田の減水深を計測するための機器です。
写真上部の減水深計は、単三電池で半年程度稼動するタイプの機器であり、一方、写真下の減水深計は、ソーラーパネルで稼動するタイプですので、日照条件にもよりますが稼動期間は半永久となります。
これまでの減水深計は、超音波で水面までの距離から田んぼの水深を算出していましたが、超音波式では水面の波立ちや、稲の葉の生育によるセンサーの阻害等で計測できない事象が度々生じていたため、今回は静電容量式の減水深計(プロトタイプ)を2基製作しました。
写真は仙台市内の協力農家さん(荒浜アグリパートナーズ)の水田に今年の7月中旬から設置させて頂いているものです。
計測精度は0.5mmで最大10cmまでの水深を計測することが可能です。
なお、設置は田んぼに機器を差し込むだけでよいので、どなたでも簡単に設置することが可能ですし、機器には水深を読み取る目盛りも付いていますので、目視による確認も可能です(目盛とセンサー値は0.5mm単位で一致します)。
また、センサー値はサーバー経由でPC及びスマホから確認することが可能なIoT機器ですので、計測期間中のデータやリアルタイムデータを確認・ダウンロードも可能です。
写真の減水深計はプロトタイプのため、まだ販売には至っておりませんが、次年度を目途に低価格での提供を予定しておりますので、乞うご期待下さいませ。
2024.5.29
AI(人工知能)の技術は農業分野においても既に様々な場面で活用されておりますが、弊社ではこれまで培ってきた減水深調査の実績や調査データをAIに分析させることで、水田の水管理を更に効率化させるための研究やアプリ開発を行っているところです。
左の写真は、昨年弊社が製作した減水深計「suirri_monitor」を減水深調査で使用した時の写真ですが、最近では水管理の効率化にこうした機器を活用されている地区も多く目にするようになりました。
また、近年では温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「J-クレジット」の創出として国が認証し、取引を可能とする制度がありますが、水田農業では2023年3月から「水稲栽培における中干し期間の延長」による温室効果ガス(メタンガス)削減に取り組み、削減量から得られるクレジットを販売することで収益が得られる制度が実施されているところです。
この「水稲栽培における中干し期間の延長」に関しては、創出されるクレジットの算定に必要な情報として「日減水深測定記録」がありますが、「suirri_monitor」のようなIoT機器を使うことで、日減水深及び中干しの開始日/終了日などが容易に収集・整理できるのではないでしょうか。
左の画像は、弊社のベランダに設置したIoT機器からクラウドサーバー経由で送られてくる観測値を試験運用として公開しているものですが、今後は実際の水田に数多く設置し、蓄積したデータを基にAIを活用した水管理の効率化に繋げていければと考えております。
現状まだまだ道半ばですが、こうした機器やシステムに興味がございましたらお気軽にご相談くださいませ。